プロダクトイラスト

幼児の平衡感覚を養うための玩具の提案

プロダクト

コンテンツ紹介

大学時代の力作。集大成となる卒業研究で制作した玩具です。
4,5歳の子どものためのセットとして調査と試作を繰り返して制作した平衡感覚とコミュニケーション能力アップを願ったものになります。

attention

画像をクリックすると大きい画像で確認できます。
遊び方および論文は、PW付のPDFとしてアップしていますので下記を入力してご覧ください。

ID:  test
PW: L4_SMtvXj3+9

遊び方

想定イメージ

下図のように板と板の間に付属の色んな色や硬さのボールを穴に入れてその上に乗って歩いて遊ぶことを想定しています。また、複数台並べてお友達と一緒に遊んでコミュニケーション力向上も図れたらいいなと考えて作成しています。

想定している遊び方イメージ
  • 対象年齢:  4,5歳
  • 人数: 1~3人くらい/ 1セット
  • 使用想定場所: 屋内

セット内容

  • おもちゃのはなし。…1部
  • 移動ラクちんバッグ…1つ
  • 踏み板・土台の板…1セット
  • ボール袋 …1枚
  • スポンジ …6個
  • EVAボール …20個
  • PUボール …20個
  • スーパーボール …20個
  • 桧ボール …20個
作成するうえで考慮した点
  • 子ども向けの玩具なので漢字を使用する場合はルビをつけ、文字サイズや行間もゆとりをもたせて絵本感覚で読めるようにした。
  • 飽きないように、好みに合わせて設置できるようにした。
  • ボールの組み合わせや台の上での歩き方によって変化を楽しめるようにした。
  • 複数枚セットを組み合わせると、台の上で並んで跳んだり、かに歩きですれ違ったりすることができる。
  • 友達と一緒に用意や片付けをすることで、自然とコミュニケーションが取れるようになる。

研究背景

近年、公園の遊具が減るだけでなく、外で走り回る子供の姿も消えてしまいました。
また、三郷市スポーツ促進課へのインタビューで、行政は子供の体力低下の問題を謳っているにも拘らず、特に、対策や市民への提案が十分に行なわれていないと感じました。
この問題を解決する為に、子供が遊ぶことで体力が自然と身につく玩具の提案をテーマとしました。

地元の公園の様子(2枚はそれぞれ別の公園)

調査内容

4,5歳の子どもを育てているお母さんへの意識調査や市役所、現役保育士をしている友人へのインタビューやインターネットや実際の玩具販売店での調査により、以下のことが分かったため、平衡感覚を養いつつコミュニケーション能力も高められるものがあったら良いのではないかと考え、制作を行なうことにしました。

  • 外で遊ばせたいが環境が悪いので子どもを外で遊ばせることに抵抗がある
  • リスク回避のために危険なメンテナンスのしていない遊具の撤去はするが、子供用遊具を増やすことはない
  • 子どもの運動不足問題に関して認知はあるが、子どもには体力よりもコミュニケーション能力を養ってほしい
  • 走る、跳ぶ、投げる玩具はあっても、気軽に遊べるかつ、平衡感覚を養う玩具は少ない
アンケート結果1(屋外遊びへの抵抗感)
アンケート結果2(結果1の理由の調査)
アンケート結果3(遊びに求める能力)
日本の既存玩具のカテゴリ分布

プロトタイプ作成

スケッチ

調査結果を受け、空間を絞らず、4,5歳の子どもたちが飽きずに楽しく遊べて平衡感覚をつけることのできる玩具と遊び方のアイデア展開を行ないました。

その中で、空間を幼稚園や保育園、児童館などの保育施設の屋内に設定し、子どもたちが自分で考えて簡単に組み立てたり、並べたりしたものの上を歩く・走るなどをして平衡感覚を自然に養うことのできる玩具のデザイン案に決定しました。

確定した案のスケッチ

試作品作成

材質を調べ、実際に購入して加工しては自分で使用して検証し、友人や所属していた研究室の教授に助言を貰いつつ試作を繰り返し、制作しました。

素材チェック:R=40 の穴に様々な球体を入れて歩いた時の感触を検討している様子
作成経過01:切った EVA シート
作成経過02:板のブラッシュアップ(見た目改善のため接着面隠しの作成)
作成経過03:乾燥中の4色のボール(既製品のままだと統一感がないので着色)
スポンジをセッティングしたイメージ(安全性確保のためのスポンジの作成)

ロゴ

ぱっと見たときに、「楽しい」印象のほかに
どうやって遊ぶ →板にボール挟んで乗ってぐらぐらさせる
対象は? →子ども
何人で遊べる? →2人(複数)
これが分かるよう意識して単純にデザインしました。

考察及び今後の展望

遊んでただ平衡感覚を養わせるだけでなく、子どもたちが「はめる」「置く」の動作だけで自分の好きなレベルの台を作れる点と、2,3人で台の上をすれ違いで歩いたり跳ねたりする中で対人能力を築いていくきっかけを与える点で玩具の新しさを追究しました。

その結果、玩具の説明書や玩具ケースまでトータルデザインを行なったことで、親と子どもの両者にきちんと玩具を理解して正しく遊んでもらえることが期待されます。

一方で、板が子ども1人では持てないような重さである点や玩具を1セットで収納できない点は改善の余地があると感じました。その原因として、検証で正確な結果や意見を得ることができず、それを反映して制作できなかったことにあると考えられます。

今回、検証を依頼するにあたって、保護者や検証実験場所の管理者と繰り返し打ち合わせを計画的に行なっていく必要があったと感じました。今後の展開として、繰り返し検証実験を行うことで子どもたちにとっての安全や面白さを追究し、大人が子どもたちのすぐ傍で見張らなくても安全かつ、子どもだけで用意から片付けまでをしっかり行うことができる重量と収納ケースの形状の検討を行なうべきであると考えます。

制作時期

2016年4月~2017年1月。
研究報告書の内容は下記よりご覧ください。

  • 2016年3月
    研究内容の決定

    身の回りの事物を見て何が問題で解決したいか課題を決め、研究室で各自発表。
    私の場合は昔遊んでいた近所の公園の遊具がなくなり、子どもたちの遊んでいる光景が見えなくなってしまったことに違和感を覚えたので調査することにしました。

  • 4月~6月
    原因の調査、問題のピックアップ

    下記の方法より、子どもの運動能力問題は上がっているものの「どこで遊ばせる」や「運動能力をアップ」より親が「子どものコミュニケーション能力をアップさせたい」意識が強いことが判明。このニーズに合わせて本件を解決する案を模索する。

    • 市役所で遊具についてのインタビュー
    • 子どもの運動環境や身につけさせたい能力についてのアンケート調査
    • 保育園で働く友人へのインタビュー
    • ネットによる現在の子どもの運動能力や問題点調査
    • 玩具屋さんでの実地調査やネット販売の調査による人気玩具の傾向確認
  • 7月中旬
    中間発表

    学科で現地点までの成果を発表します。
    ここでおおよそどのような方向性で玩具の提案をしていくか報告し、教授からフィードバックをもらって引継ぎ調査や作成していきました。

  • 7月~12月
    プロダクト作成のための素材調査・作成

    東急ハンズやユザワヤ、ビバホーム、100均など素材販売のお店を巡って実際にどのような素材が適しているかチェック、試作を繰り返し、教授からフィードバックをもらいながら作成していきます。

  • 12月末
    最終発表会

    検討や制作過程を経て、下図のような平衡感覚を養う玩具を制作し、最終審査会に提出しました。
    しかしこのフェーズでは安全性や使い方のマニュアルの作成ができていなかったため最終までに検証と安全面の修正ならびにセットの使用方法作成が求められたので3月の展示会までの期間に作成しました。

  • 2017年1月
    卒業研究展

    一般公開展示を学科全体で毎年行っているためその展示会で各研究室ごとに展示しました。

    展示会で使用したA3パネル

 

参考文献

1)文部科学省 3.子どもの体力低下の原因
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1344534.htm

2)文部科学省 総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/club/main3_a7.htm

3)株式会社イード 母親の子育てや子どもの安全に関する意識調査
http://www.iid.co.jp/news/report/2015/042301.html

4)スクスクのっぽくん
「4 歳児の体(身長・体重)の成長・発達・発育・特徴について」
http://www.suku-noppo.jp/infant/4sai

5)スクスクのっぽくん
「5 歳児の体(身長・体重)の成長・発達・発育・特徴について」
http://www.suku-noppo.jp/infant/5sai

6)おもちゃランキング 1 位〜-人気売れ筋商品ランキング-Yahoo!ショッピング
http://search.shopping.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&p=%E5%AD%90%E4%BE%9B+%E7%8E%A9%E5%85%B7+%E4%BA%BA%E6%B0%97&rkf=2&uIv=on&seller=1&ex_cnt=1&X=4

7) 愛知県共済 生活協同組合 インターネット公開文化講座
「カラーコーディネーターに聞く色の活用術」
http://www.aichi-kyosai.or.jp/service/culture/internet/hobby/color/color_1/post_586.html